第3回:ドローン開発に必要なパーツ(3回目/全6回中)
- 高野久

- 2025年9月18日
- 読了時間: 6分
更新日:2025年9月25日
ゼロから学ぶドローン開発入門講座:第三回
こんちは!蒼希株式会社の代表、高野久です。
第3回講座へようこそ。本日のテーマは「ドローン開発に必要なパーツ」です。
これまでの講座で「ドローンとは何か」「なぜ飛ぶのか」を学んできました。
今日はいよいよ、ドローンを実際に“形”にしていくために必要な部品について学びます。
ドローンは1つの完成品のように見えますが、実際にはいくつものパーツが組み合わさって飛行を可能にしています。まさに「部品の集合体」なのです。
ここで皆さんに質問です。もし「ドローンを1から作ってください」と言われたら、どんな部品が思い浮かびますか?
「プロペラ」「バッテリー」「カメラ」…このあたりがすぐに出てくるでしょう。しかし実際にはもっと多くの要素が必要です。今日はその全体像を一緒に整理していきましょう。
フレーム ― ドローンの骨格
まず紹介するのはフレームです。
フレームは機体全体を支える骨格にあたります。軽量で強度があり、振動に強い素材が求められます。一般的にはカーボンファイバーやアルミ合金が使われます。小型機であればプラスチック製フレームもありますが、耐久性の面で限界があります。
フレームの形状は、ドローンの種類によって異なります。
クアッドコプター(4枚プロペラ)であればX字型のフレームが定番ですし、ヘキサコプター(6枚プロペラ)やオクトコプター(8枚プロペラ)は重量物を運ぶ際に安定性を増すため、より頑丈なフレームが必要です。
フレーム選びは、開発の最初に考えるべき重要なポイントなのです。
センサー ― ドローンの「目」と「耳」
ドローンは人間のように目や耳を持ちません。その代わりとなるのがセンサーです。センサーはドローンの感覚器官であり、周囲の状況を認識する役割を果たします。
代表的なのが GPS と IMU です。
GPSは位置情報を把握するために不可欠で、機体がどこにいるのかを知るための基盤となります。
一方、IMU(慣性計測装置)は加速度や角速度を測定し、ドローンが傾いているのか、回転しているのかを瞬時に検知します。
このIMUの情報がなければ、ドローンは安定して空に浮かぶことはできません。
さらに高度なドローンでは、衝突回避用の距離センサー、光学センサー、気圧センサーなどが搭載されます。これらが組み合わさることで、ドローンは「自分の位置」と「周囲の環境」を同時に把握できるようになるのです。
通信モジュール ― 操縦者との命綱
次に大切なのが通信モジュールです。これがなければ、ドローンは操縦者の指示を受け取ることも、映像を送信することもできません。
通信モジュールはまさに「命綱」です。
一般的な小型ドローンは2.4GHz帯の電波を使います。長距離飛行を想定する場合は5.8GHz帯や専用の通信システムを使用します。
さらに、5G通信の実用化によって、遠隔地からリアルタイムで操作や監視が可能になる未来も見えてきました。
通信の安定性は安全性にも直結します。電波が途切れると、ドローンは制御不能になり墜落の危険が高まります。そのため通信モジュールは「信頼できる通信をどう確保するか」が大きな開発課題となります。
カメラ ― 付加価値を生む装備
ドローンの代名詞ともいえるのがカメラです。
カメラを搭載することで空撮やライブ映像配信、測量、監視といった幅広い用途が可能になります。
ドローン用カメラは単なる動画撮影機ではありません。ジンバルと呼ばれる安定化装置に取り付けられ、機体が揺れてもブレの少ない映像を撮影できます。
測量用では高精度のカメラや赤外線カメラが利用され、農業ではマルチスペクトルカメラで作物の健康状態を分析することもあります。
カメラは必須ではありませんが、ドローンに「見る力」を与えることで、その可能性は大きく広がります。
バッテリー ― 飛行時間を左右する要
ドローンの燃料にあたるのがバッテリーです。
現在主流なのはリチウムポリマーバッテリー(LiPo)で、軽量かつ高出力という特徴があります。
私は先日、ドイツのベルリンで開催されたIFAという展示会に行ってきましたが、多くの企業がバッテリーの展示を行っていました。今は日進月歩の真っ最中です。
しかし飛行時間はまだまだ短く、一般的な家庭用の小型ドローンでは10〜30分程度しか飛べません。
研究開発の現場では、より高性能なバッテリーや燃料電池の導入が模索されています。飛行時間が1分延びるだけでも応用範囲は大きく変わります。
バッテリーはドローン開発において、最も進化を求める分野の一つです。
飛行距離に大きく影響するのがこのバッテリーです。
フライトコントローラ ― 頭脳にあたる存在
最後に紹介するのがフライトコントローラです。これはドローンの「頭脳」と呼ばれる存在で、センサーからの情報を処理し、各モーターに適切な回転数を指示します。人間でいえば脳に相当します。
例えば操縦者が送信機で「前に進め」と指示を出すと、フライトコントローラは「前方のモーターの回転数を下げ、後方のモーターの回転数を上げる」という命令を瞬時に計算して出します。この高度な処理があるからこそ、ドローンは直感的に操作できるのです。
代表的なフライトコントローラには、オープンソースのPX4やArduPilotがあります。これらは世界中の開発者が改良を続けており、ドローン開発の基盤として広く使われています。
市販部品を使った構成例
ここまで紹介したパーツは、すべて市販で手に入れることができます。例えば入門者向けには、フレーム、モーター、プロペラ、バッテリー、フライトコントローラ、通信モジュールを組み合わせれば、シンプルなクアッドコプターを作ることが可能です。カメラや高度なセンサーは後から追加できます。
実際にパーツを組み合わせる体験をすると、「ただ飛ぶ」だけではなく「どういう仕組みで飛んでいるのか」が実感できるようになります。
そういえばウクライナの戦争が始まった時、うら若き女性が家庭でドローンを手作りして、戦場に送り続けている、というニュースを見たことがあります。
まとめ:ドローンは部品の集合体
本日の講座では、ドローンを構成する主要なパーツを学びました。
フレームは骨格
センサーは目と耳
通信モジュールは命綱
カメラは付加価値
バッテリーは燃料
フライトコントローラは頭脳
ドローンは、これらが組み合わさることで初めて飛び立つことができます。次回は、このパーツを動かすための「ソフトウェアとプログラミングの基礎」に進んでいきます。
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